【27日公開「象の背中」で愛人・青木悦子役】
「芝居は難しいな、と思うことが毎回何かしらあります。今回で言えば、まだ私が本当に近しい人との別れを経験したことがなくて…」。別れの辛さを表現することに苦労したようだ。
映画「象の背中」で、肺がんに冒され余命半年の主人公・藤山幸弘(役所広司)を支える愛人・青木悦子を演じた。勝ち気でバリバリ働くコピーライター、でもその実、人一倍寂しがり屋という位置づけだが、「余命を知らされた幸弘は、家族より先に私のところに知らせに来て甘えてくれる。悲しく見送るのではなく、幸弘を勇気づけて前向きにさせるという意味では、とても強い女性なんです」。
【「悲しく送るより、勇気づけて前向きに」】
撮影現場では衣装選びからセリフ回しまで、折に触れてスタッフから意見を求められた。「悦子像を一緒に作ったという感じでした」。キャラクターを自ら構築し、演じきった充足感が漂う。
妻子ある男性との恋愛。それを「不倫」の一言で片付けるのは簡単だ。しかし、「2人は男女ということを超えて、お互いの気持ちが通じ合う仲なんです。(最期に)『良い付き合いをありがとう』と言い合えるような…。演じているのが不倫、とは思いませんでした」と語る。
「幸弘は魅力的なキャラクターなんです。しかも役所さんが演じたら特に。もし、幸弘みたいな人が目の前に現れたら、自分が理性を保っていられるかどうか、分からないですね」
昨年11月、14歳年上のデザイナーと結婚したばかりの新妻としては、かなりダイタンな発言。妻の立場は、もちろんわかる。それでも、愛してしまうのは仕方がない…既婚男性には、ちょっとうれしい言葉だ。
【「余命」重いテーマに挑み】
実際は、妻役の今井美樹と意気投合。撮影の合間に一緒にランチを食べに行っては、「お互いに『大変だよね』って言い合っていました。『余命』というテーマが重いですからね。演じるときの気持ちって難しいよね、なんて話していたんです」。撮影が終わり、現場から離れるときも「お疲れさまでした!」と明るく言って帰ることができなかったという。相当、根を詰めた撮影だったに違いない。
さて現実。今回の仕事で、生と死を深く考えさせられたという。
「たとえば親の死のようなことは一番起きてほしくないことながら、どこかでは考えたことがありますよね。普段はすっかり忘れて過ごしていますが、考える機会はとても大切だなと思うんです」
